第119号 女郎花
今年も猛烈に暑い夏になりましたが、着実に季節は移ろいでいます。今年もあと残された歳月は4か月ほどになりました。
本題に入りますが、女郎花(おみなえし)は、秋の七草のひとつとしてご存じの方も多いと思います。ここでいう女郎花は、早見俊の時代小説に出てくる小料理屋の屋号です。
幼いころ、父親には死に別れ、母親は男と一緒に家を出てしまい、一人になった女の子の行く末が、女郎でした。
その後、十数年かけてお金をためて、二十代後半で持った小料理屋の名前が『女郎花』だったのでした。作り話とはいえ、私は、この女将の強い気持ちと生きざまに心惹かれたのです。
少し私自身のことにふれますが、今回本を読んでいて(音訳ボランティアさんが音訳した本)を読んでいるうちに、やたらと、自分の目で活字が見たくなったのでした。
初めの詩は、人並みに苦労も喜びも味わった自分の生き方を振り返り、反省し作った詩です。どうぞ読んでください。

〈虫がいい私〉

淋しい時
悲しい時
虚しい時
苦しい時
辛い時
無性にあなたを想う
会いたくて会いたくてしょうがない
・・・・
嬉しい時
楽しい時
満足している時
充実している時
虫がいい私は
あなたを忘れている
それでも
いつでも
どこにいても
なにをしていても
あなたには
感謝の気持ちが
全身から
溢れ出しています

▽ 私の場合、今現在、最も頼れる存在が妻です。何十年も一緒にいると、まるで空気のような存在になるのでした。
次の詩も私自身の過去を振り返り、今の自分を俯瞰して作った詩です。
気を付けていないと、他人の嫌なところばかりが目につき、その人の本当の姿が見えなくなってしまうことに対し、自己嫌悪してしまう私自身を描いた詩です。
どうぞ辛抱して読んでください。

〈耳を清ませば〉

見ているのに
見えず
聞いているのに
聞こえず
見なくてもいいものばかりが
見えて
聞かなくてもいいことばかりが
聞こえてくる
大切なものは
見えず
必要なことは
聞こえない
それはまるで
音のない闇の中で
真っ黒な壁に
墨汁で書いた真実を
読もうとしているに等しい
他人の言動を
否定し
己の主義主張ばかりを
前面に立て
人の心を無視することで
己の人格を
貶めてしまう
それだからこそ
夜道を照らす
望月の光のように
目を澄まし
高く澄み渡る
満天の星空のように
耳を清ませば
目にも耳にも
心にも
大切なことが
映し出される
これから先も
目を明るくし
耳を清まして
心を空しくする
そんな努力を続けたい

※ 望月(もちづき):陰暦十五夜の月。特に、陰暦8月の十五夜の月。満月。

▽ 昔、同級生に「望月」君という名の男性がいましたが、とても頭がよく、優秀でした。
話を戻しますが、自分の人生を振り返れば、反省ばかりです。見えなくなってから、死んだ後のことが気になるようになりました。それだからこそ、悪いことはしないようにと思っていますが…
人はそれぞれですので、私の感じ方とは違った方も沢山いらっしゃることと思います。
一方的な私の感想を広い心でお許しください。
これからもよろしくお願いします。
小澤真人でした