第122号 障害者として
皆さんもご存じのように、私は障害者です。50歳を目の前にして、視力を失いました。
障害を持って思うのは、誰でも簡単に障害を持ってしまう可能性がある!ということです。皆さんも、自分の周りの人たちを観察してみてください。その人の生活習慣次第では、病気あるいは事故などで、歩けなくなったり、寝たきりになったりしてしまう可能性も大いにあります。
ですから、皆さんも自分を俯瞰してみて、悪い習慣は少しでも減らした方が良いのは自明の理です。このことは、皆さんに向けているふりをして、私自身に向けているのでした。
私の病気は、目のほかに腎臓もダメにしてしまう可能性が高いので、必要以上に心配しているのだと思います。
初めの詩は、他人の目や風評を気にしてしまう私に言い聞かせるための詩です。周りの目を気にしないで生きて行きたいものです。視覚障害者になってから、特にそう思います。
では読んでください。

〈呼牛呼馬〉

馬鹿だなと言われれば
ありがとうと答え
でくの坊と言われれば
その通りと頷く
何を言われても
どこ吹く風
何を噂されても
知らんぷりして
挨拶を交わす
「おはよう・・・今日はいい天気だね」と
そんな 本物なあほを目指して
今日も生きて行く
日向では罵倒され
影では後ろ指を刺され
口をゆがめて笑われる
『なぜそんな生き方を選んだのか』と言われたら
『いつでも毅然として胸を張っていたいから』と答えて
表情一つ変えず
歩き続けたい

※ 呼牛呼馬(こぎゅうこば):相手に何を言われても逆らわないこと。相手に牛だと言われれば自分を牛だと思い、馬だと言われれば自分を馬だと思うことからそう言われた。

▽ 皆さんは『のぼうの城』という映画を見たことはありませんか。本にもなりました。
とても面白い作品でした。今改めて思うと、この主人公の「のぼう様(さま)」が、まさにこの「呼牛呼馬」そのものでした。
ところで、ここでいうところの「のぼう」とは「木偶の坊(でくのぼう)」という意味と言葉からとったようです。
次の詩は、気づけば、何も手にできなかった私自身を詩にしたものです。今更ですが、過去を振り返り作ってみました。
どうぞ読んでください。

〈欲張り一番 世界一〉

俺は欲張り世界一
欲を張ったら誰にも負けない
・・・・
プライベートビーチのあるセカンドハウス
ベンツとポルシェとハーレーダビットソン
世界を股にかけた大会社のオーナー
ノーベル賞に世界栄誉賞
宇宙遊覧と新惑星の発見
スカイダイビングを趣味にして
青い空さえ我が物にする
・・・・
そんなものは一切いらない…
ちょっぴりだけ負け惜しみ
・・・・
俺は何も持っていない
知識もないし勇気もない
人を許す愛もない
金もなければ家もない
しかし友には恵まれて
時折元気かと電話もくれる
だからこそ愛する家族や
掛け替えのない友と
いつでも一緒にいたい
それだから
何を言われ
どんな批判を受けても
柳に風と受け流し
堂々と生きて行こう

▽ 一番仲の良かった友人のなかで、早いことに二人も亡くなりました。どうやら病気のためだったようです。少なかった友も、いづれいなくなるのですね。
話は全く変わりますが、国リハで勉強している頃に、嫉妬だか?やきもちだか?で、事実を捻じ曲げられて、あることないこと悪口を言われていました。
そんな勝手な噂だけが膨らんでしまいました。それを思い出すと悔しいですが、そんなことは忘れ去ったほうが良いに決まっています。
今回もありがとうございました。
小澤真人でした