第121号 美しい日本語
お茶の水女子大名誉教授の、藤原正彦先生の著書に「美しい日本語の言霊」があります。夏の暑いさなかにその本を読みました。
数学の先生がその本を書いたのかと思うと、驚くと同時に、秘かな感動もしました。その本の中に『歳を取るというのは懐かしさに生きるということ』とありました。
私は、その一文にとても共感したのでした。私たちが使う日本語も、正しく使えば、美しいものなのですね。私は「日本語」をつくづく考えると、いいものだなと思いました。これも視覚を失った効用ですね…!
初めの詩は、仏教でいうところの「諸行無常(しょぎょうむじょう)」をテーマにしてみました。
つまり、この世のものは常に変化し続けている、ということのようです。私も、いくつになってもここにとどまらず、常に成長したいと考えます。肉体的には衰える一方ですが…。
どうぞ読んでください。
〈諸行無常〉
大空を行く
清く澄んだ風も
大地を流れる
光り輝く水も
とどまることはなく
過ぎ行く光陰は
誰にも平等だ
与えられた時空に
乗ることができた者にだけ
明るい未来は
待っている
過去のあなたと
今日からのあなたは
違って当たり前
昨日までのあなたより
未来のあなたは
成長していることだろう
冬にまいた種が
春には芽吹き
夏には花咲かせ
秋には実が実るように
宇宙は
確かに息づき
地球は
等しく恵みをくれる
折角もらった
命なのだから
ちっぽけな自我など捨て去り
宇宙船地球号に
乗り込んだからには
大きな愛を目指して
変化し続けたい
諸行無常の
響きを感じつつ
※ 諸行無常(しょぎょうむじょう):この世の万物は常に変化して、ほんのしばらくもとどまるものはないこと。人生の無常をいう仏教の根本的な考え。
▽ お気づきのことと思いますが、ここでいうところのあなたとは、中途で目が見えなくなった私自身も含めた話でした。
話は変わりますが、私は、見ることができなくなってから、案外仏教の教えが好きになりました。「どんなところを好きになったのか?」と問われれば「理屈っぽいところが好きです!」と答えるでしょう。
次の詩は、見た目だけで物事を判断してはならないと言いたくて作ってみました。
気の短い私を、叱咤するつもりで作りました。どうぞ読んで見てください。
〈短気は損気〉
遠くから
眺める浅間の
雄大さ
蒼穹へ吹き出す
白煙よ
おまえは
いずこへ向かうのか
・・・・
大空を突き
悠然と聳える
富士の山
夕日をうけて
紅く染まる美しさ
誰もが見ほれる
その雄姿
・・・・
浅間も富士も
近くで見れば
唖然呆然とするほどの
醜さよ
その岩
そのごみの
なんと多いことか
・・・・
短気は損気
頭から
吹き出す血潮
またやっちまったかと
後悔先に立たずに
項垂れて
自己嫌悪
▽ いつだったか?子供のころ「宇宙人はいるのかな?」と友に言ったことがありました。
するとその友は「俺たちだって、地球に住む宇宙人だろう」というのでした。確かにその通りです。
私は、思い込みが激しいので、そんなことにも気づきませんでした。
今回も、最後までお付き合いくださりありがとうございました。
小澤真人でした