第八十二号 悩み多き青春時代
令和6年の1月も、瞬きをしている間に『大寒』も過ぎ、もうすぐ『節分』そして『立春』を迎えようとしています。そんな季節の移ろいを感じながら、昔のことをちょっぴりだけ回想してみました。
大昔読んだ推理小説に『人をだめにする原因は様々だが、その中には驕慢(きょうまん)と血気怒気がある。だからこそ、驕る(おごる)ことなく、怒りを治める訓練をしなさい』と、書いてあったことを想いだします。
私の場合、胸が痛むいほど心当たりがあります。
初めの詩は、子供の頃の自分自身の思い出に、とっぷり浸り書いてみたものです。
私が生まれてから、何を感じ、どんな事を想って生きてきたのかを、読んでいただけたなら幸いです。

〈青い春を走りぬいて〉

坂東太郎の流れる里で
昭和34年のまだ寒い春
男の子は生まれた
初孫だったため
親戚中から可愛がられて育った
祖父母から
叔父や叔母から
もちろん父と母からも
愛され砂糖漬けにされた
名付け親は伯母だった
・・・・
やがて近くの
保育園に通い始めた
男の子は
泣き虫に育っていた
女の子に
肩をつんつんされただけで泣きだした
そんな時には決まって
隣の家のじろうちゃんが助けてくれた
じろうちゃんは
スーパーマンのようにカッコよかった
・・・・
小学校に入学すると
隣の家のじろうちゃんから
色んなことを教えてもらった
自転車の乗り方
くわがた虫の取り方
沢蟹の住むところ
お医者さんごっこ
クラス担任の先生からは
何度か廊下に立たされ
思いやりを学んだ
・・・・
春秋を重ねた男の子は
中学校へ入学した
そうして恋をした
初恋だった
柔道部に入部した男の子は
男臭く育った
男臭さは汗臭さ
女の子たちからは嫌われた
それでも男友達はできた
柔道は初段を取り黒帯を占めた
・・・・
やがて近くの高校に入った
男ばかりの学校だった
先生方も男だけだった
女の子とは口もきけないほど
小心な男になってしまった
それでも一年目には
大型自動二輪の免許を取り
三年生では
普通自動車免許も取った
ゴルフ場でキャディのバイトも経験した
・・・・
男の子は
山を翔け
川を泳ぎ
のを走り
青い春を精一杯遊んだ
遊びで忙しく勉強をする暇のなかった
男の子は後悔をした
勉強もしておくべきだったと
初恋の女の子にも
告白だけはしておきたかったと
・・・・
20代は
速足で過ぎて行った
30代は
各駅停車で走って行った
40代は
高速道路を疾走し去って行った
50代は
夢を見ているうちに過ぎ去った
60を過ぎてつくづく想う
もう一度人生をやり直してみたいと…

▽ 私は、青春時代には硬派でした…硬派というと聞こえはいいのですが、ただ女の子に声をかける勇気がなかっただけでした。ちょっと格好悪いですね。
次の詩は、まさにそんな青春時代を書いてみたものです。
この詩は、私の中学の頃の話です。ほぼ七割がた私の妄想ですが…私は、中学の頃、とにかく黒帯を締めたくて、なによりも柔道を一所懸命だったのです。
では読んでください。

〈青春時代〉

柔道着の上から黒帯しめりゃ
きりりとまなこも引き締まり
俺より大きな対戦相手
得意の背負いで投げ飛ばす
県大会を勝ち抜いて
好きなあの娘に胸を張り
俺の気持ちを打ち明けたくて
汗にまみれた青春時代
・・・・
校舎の窓からコートを観れば
白いスコート翻し
テニスボールを追いかける
好きなあの娘に目はハート
突然あの娘が振り返り
目と目で気持ちを打ち明け合って
ふたりの将来誓い合う
独り善がりな青春時代
・・・・
机に向かって黒板見れば
先生の声は子守唄
白目と黒目が裏返りゃ
うとうとあの娘と公園デート
気が付きゃガツンと星が飛び
思わず後ろを振り返る
そこにはあの娘の怖い顔
尻に敷かれた青春時代

※ この詩の7割程度は、フィクションであり、私の勝手な願望的妄想でした。

▽ 皆さんが、青春時代を振り返ると、どんなドラマがありますか。
人生は人さまざまですが、楽しい思い出…悲しい思い出…恥ずかしくてやり直したい
思いでなどなど、渾然一体となっているのではないでしょうか。
今回もありがとうございました。
石田眞人でした。