第五十五号 移ろう心
皆さんの心の中は、混じり気もなく純粋で単一でしょうか。
私の心は複雑怪奇で、いつでも国盗り合戦が勃発しています。例えて言えば、戦国時代の日本そのものです。その時代は、純粋な全はなく、何が善なのか、何が悪なのかさえ判別できない時代でした。
しかし、今の私の心は、良い心(良心)と悪い心(邪悪な心:邪心)に分かれているようです。更に、良心も邪心もいくつかの領域に分かれていて、その中でも争いがあるようなのです。まるで主人(責任者)が存在しない世界です。現在は、確りと引っ張ってくれるリーダーを待ちわびている私の心なのです。
始めの詩は、カーっと頭に血が上ってしまい、私からケンカを売ってしまった結果の出来事を書いてみたものです。私の立場からすれば、唯々お詫びと反省な出来事でした。今となっては、何に腹を立ててしまったのかは覚えていません。いかにも私にとって都合が良いようですが、本当のことです。
どうか読んでください。

〈大人がした子供のような喧嘩>

それは起こるべきして起きた
と言うと
僕にとって都合がよすぎるかもしれない
実はそいつのことは
そんなに嫌いではなかった
道聴塗説な
知ったかぶりした口調
ナメクジのような
ねちねちとした言い回し
シングル盤のレコードを
33回転で廻したような
ゆっくりとした話し方
身長178cm
体重98kgの
重量感たっぷりな体には似つかない
軽々しく人におもねる態度
どれ一つとってみても
僕の性格とは
真逆なのである
・・・・
こんなことを言っている僕は
頭がどうにかなってしまっているに違いない
それにしても
僕の同室の子を標的にして
まるで気の弱いヘビのように
押しては引き
引いては押し
じわりじわりと
身体に巻き付き
絞め殺そうと
全く
重箱の隅をつつきながら
時に
理不尽な
しかし稀には
的確に弱点を責めるのである
以上の如く
飛び火的な要素を
多分に含んでいる
一々そんなことが
癇に障っていたのだから
僕の心の爆発は
時間の問題であり
不可避的要素を含んでいたことは
自明のことである
これは自分勝手な言い分に過ぎない
喧嘩battleに整合性はない
互いの正当性はもとより
生産性などなければ
合理性は言うまでもない
あるのは破壊性だけなのは
誰もが頷くところである
・・・・
「どうしてそんなことで」と
思うほどの
理由が原因な時ほど
実は根が深いと言えることが
多いはずである
今回も
その原理から洩れることはない
その子は僕に
身体とは反比例して
丸できゃーんキャンと
子犬がダダをこねるように
小さな声で
「いい年してなにやってんですか」と
繰り返しつぶやいていた
その時はその声の小ささが
僕の怒りに油を注ぐ結果になった
しかし今想えば
その通りである
・・・・
今朝は昨日とはうって変わって
初冬の蒼穹が
高く高く広がっている
その青さと清風が
真っ白な洗濯物を包んで
僕の汚れた心までも
奇麗さっぱりと洗ってくれた
いや洗われたような気がした
そんな心の汚れを
移ろい行く季節が
持って行くはずはない
この蟠りは当分なくならないだろう
だからこそ
愚かな行為は慎むべきだ
結論を云えば
一体全体
僕の行動は
終始一貫
大人気なかったと言うことだ
ただ反省あるのみ
と自分に云い聞かせる

※ 道聴塗説(どうちょうとせつ):学問をしっかり理解していないのに、知ったかぶりをして人に説くこと。根拠のない受け売り。いい加減なうわさ話。

☆ 昔のレコードは、主に、シングル盤とLP盤があり、シングル盤の回転数は、1分間に45回転で、LP盤の回転数は1分間に33回転でした。

▽ どんな理由があろうとも、けんかの後は後味が悪いものですね。
結婚した当初、妻から「私たち会話がないよね」と言われていました。その度に私は、『毎日顔を合わせているのに話すことなんかない』と思っていました。
しかし、ある日テレビの中で、ある歌手が「奥様が、会話が無いと言ったときには、話を聞いてほしいと言うことなのです」と言っていました。それを聞いて私の目から音を立てて鱗が落ちました。
その日以来、妻から会話がないとは言われなくなりました。
この例は、夫婦関係だけではなく、あらゆる人間関係に当てはまるように思います。
次の詩は、愛をテーマに作ってみました。
愛と言えば、小学6年生当時を想いだします。当時私は、愛と恋の違いが判らず、誰彼無しに「愛と恋の違いは何?」と聞きまわっていたのです。
しかし、答えは得られませんでした。皆さんは、『愛とは』と聞かれたなら、何と答えますか。
どうぞ読んでください。

〈愛するとは〉

愛とは思いやり?
愛とは真心?
愛とは許すこと?
愛とは優しさ?
愛とは厳しさ?
僕はどうして
許すことができないのだろう
沢山許されているのに
僕はどうして
人の話を最後まで聞くことができないのだろう
あなたはしっかり聞いてくれるのに
僕はどうして
すぐに腹を立ててしまうのだろう
腹を立てた瞬間から
心がどん底へ落ちて行くことを知っていながら
太陽はいつでもどこにでも
平等な愛を注いでくれる
空はどこまでもどこまでも
青く広く僕を包んでくれる
山は四季折々な顔で
僕たちに笑顔を向けてくれる
・・・・
愛とは包容力?
愛とは笑顔?
愛とは涙?
愛とは汗?
愛とは未来?
僕はどうして
こんなにもエゴイストなのだろう
自分勝手をあんなにも嫌っているのに
僕はどうして
口汚く罵ってしまうのだろう
悪口を言われたなら
烈火のごとく怒ってしまうのに
僕はどうして
人を見下してしまうのだろう
自分自身蔑まれることをあんなに嫌っているのに
風はいつでも 清く 爽やかに
花の香りに 満たしてくれる
穢れを知らない小鳥の囀りは
心の隅々まで平安をもたらしてくれる
海は深く白き波に乗せて
僕の心を運んでくれる
・・・・
愛とは空?
愛とは海?
愛とは星?
愛とは月?
愛とは太陽?
昨日はあんなに
心が光っていたのに
今日はこんなに
憎しみが湧いてくる
昨日はあんなに
愛に満たされていたのに
今日はこんなに
寂しさに襲われる
昨日はあんなに
笑顔が美しかったのに
今日はこんなに
不安に戦いている
いつでもどこでも
あなたは寄り添ってくれる
嬉しいときも悲しいときも
あなたは一緒に泣いてくれる
・・・・
僕は一人では生きられない
僕は叫ばずにはいられない
僕は愛さずにはいられない
僕は戦わずにはいられない
僕は死を恐れない
たとえ目を失くしても
愛するあなたの懐へ帰るために
歩き続けよう
挫けない心を握りしめて

▽ 長い詩を二編のせてもらいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今年も早、師走ですがやり残したことはありませんか。この12月もお忙しいことと思いますが、お身体を大切にお過ごしください。
今回もありがとうございました。
石田眞人でした